日本MOT学会第13回年次研究発表会 実施報告

第13回年次研究発表会の実施報告、7件の論文発表に学会賞を授与

 3月19日(土)、日本MOT振興協会に共催と、内閣府、科学技術と経済の会と横断型基幹科学技術研究団体連合に後援を頂き、「社会課題を解決し, 新たな価値を創造するテクノロジーマネジメント」をテーマとして第13回年次研究発表会をオンライン方式にて実施しました。
 出席者は84名、野元伸一郎・実行委員長(日本MOT学会理事、企画委員長)が司会務めて、開会のあいさつを鈴木潤・会長が行いました。
 林裕子・副会長から「アフターコロナの技術マネジメント」と題する基調講演や、若林整・理事から「半導体から考える次世代技術マネジメント」と題する特別講演があり、日本MOT学会の活動や講演会について椎名和仁・企画委員が説明をいたしました。
 発表セッションでは,瀧澤絵里子・企画委員(日本MOT学会事務局長補佐)からセッション運営の説明をした後、39件の論文を伴う発表があり、このうち新たに設けた学生セッションでは29件の発表があり活発な議論が行われました。8名の審査員による厳正な審査の結果、発表論文の中からベストペーパーアワード3件、スチューデントアワード4件の学会賞を選考して、玄場公規 ・審査委員長(日本MOT学会 理事、学会誌編集委員長)から表彰を行いました。受賞された皆さま、おめでとうございます。後日、表彰状を贈呈いたします。
 閉会のあいさつを林裕子・副会長が行い、「研究会 デジタル田園都市研究会」の説明がありました。

■鈴木潤・会長 開催のあいさつ

鈴木潤・会長

 日本MOT学会会長を拝命しております、鈴木潤です。第13回年次研究発表会の開催に際しまして、一言ご挨拶をさせていただきます。まず、本発表会の開催に向け、多大なるご尽力を賜りました企画委員会、実行委員会や事務局の皆様、とりわけ、野元委員長と林副会長に深い感謝の意をお伝えしたいと思います。今回の研究発表会では、いくつかの新しい試みをスタートさせました。まず、林副会長のイニシアチブにより、新たな試みとして学生からの研究発表を学会内外から広く集めるという方針を設定しました。こちらについては後ほど詳しい説明があるかと思いますが、これを機に日本MOT学会の活動に、あらたな活力が吹き込まれることを願っております。そしてまた本年から、優れた研究発表を表彰するために、アワードを選定し授与することといたしました。こちらについては、編集委員会と企画委員会の合同作業により、ベストペーパーアワードとスチューデントアワードの2カテゴリーで選定を行い、本大会終了の前に表彰式を行う予定です。さて、今年の研究発表会の統一テーマは「社会課題を解決し、新たな価値を創造するテクノロジーマネジメント」です。高齢化社会や働き方改革、パンデミックへの対処、災害からの復興、地政学的リスクの高まりなど、我々は日々、様々な社会課題に直面し、また新たな社会課題の出現を目にしています。これらの中には、技術による解決が待ち望まれる課題や、技術そのものが引き起こした課題など、技術に深く関係するものがたくさんあります。すなわち、MOTがそれらの課題解決にとって重要な、キーの一つであるというのが私の信念でもあります。日本MOT学会を通じた研究と教育が、社会課題の解決に貢献することを願いつつ、皆様と一緒に本日の研究発表を楽しみたいと思っております。以上、短いですが、私からの開会の挨拶とさせていただきます。

■学会賞表彰

1.ベストペーパーアワード

 学術的に新規性・独創性、実務的に実用性・発展性に富む論文に授与しました。

◆大賞1件
論文名:「プラットフォームエコシステムにおける総体的な価値提案の種類と補完者の両利き成功の間の関係性の研究」
著者:井上祐樹  所属:広島大学大学院 人間社会科学研究科

◆優秀賞2件
論文名:「コロナが進めたオンライン診療―産業創出・技術進化サイクルによる分析―」
著者:加納信吾 所属:東京大学大学院 新領域創成科学研究科
論文名:「日本におけるオープンデータ・エコシステムの現状と課題~地方公共団体の新たな役割~」
著者:中村英人,石野洋子**
所属:山口県庁,山口大学大学院 創成科学研究科,**山口大学大学院 技術経営研究科

2.  スチューデントアワード

 学生を対象に、将来への発展性および潜在性を有する論文に授与しました。

◆金賞2件
論文名:「IoEを活用した製造業における情報共有・知識創造」
著者:丸山悠那,内平直志 所属:北陸先端科学技術大学院大学
論文名:「ゲームにおけるユーザーイノベーションの活発さと提供可能なModの種類との間の関係性の分析」
著者:周彬,唐睿陽,井上祐樹 所属:広島大学大学院 人間社会科学研究科

◆銀賞2件
論文名:「診断と治療の融合における制度設計に関する研究」
著者:白岩直子,加納信吾 所属:東京大学大学院 新領域創成科学研究科
論文名:「新規事業開発プロセスにおけるイシュー・セリングの有効性についての考察~組織の壁を乗り越えて新規事業開発を行う要因の研究~」
著者:新保克昌  所属:法政大学専門大学院 イノベーションマネジメント研究科