第14回年次研究発表会 実施報告

第14回年次研究発表会実施報告、6件の論文発表に学会賞を授与

 3月11日(土)、日本MOT振興協会に共催を頂き、「Society5.0の社会実装を見据えたテクノロジーマネジメント~VUCA時代への変化対応力強化~」をテーマとして第14回年次研究発表会をオンライン方式にて実施しました。
 47名の出席者を迎えて、野元伸一郎・実行委員長(日本MOT学会理事、企画委員長)が司会務めて、開会のあいさつを鈴木潤・会長が行いました。
 国際大学 副学長・大学院国際経営学研究科 教授 橘川武郎様から、「カーボンニュートラルを超えて」題する基調講演や、加納信吾・理事から「オンライン診療 2.0 ‐産業創出・技術進化サイクルによる分析‐」と題する特別講演がありました。日本MOT学会の活動や講演会について椎名和仁・企画副委員長が説明をいたしました。
 発表セッションでは,瀧澤絵里子・企画委員(事務局長補佐)からセッション運営の説明をした後、30件の論文を伴う発表があり、活発な議論が行われました。8名の審査員による厳正な審査の結果、発表論文の中からベストペーパーアワード2件、スチューデントアワード4件の学会賞を選考して、小田哲明・審査委員長(学会誌編集委員長)から表彰を行いました。受賞された皆さま、おめでとうございます。朝隈純俊・副会長のあいさつで閉会をいたしました。
鈴木潤会長 開催のあいさつ

鈴木潤・会長

 日本MOT学会会長を拝命しております、鈴木潤です。
第14回年次研究発表会の開催に際しまして、一言ご挨拶をさせていただきます。まず、本発表会の開催に向け、多大なるご尽力を賜りました企画委員会、実行委員会や事務局の皆様、とりわけ、野元委員長と佐々木事務局長に深い感謝の意をお伝えしたいと思います。また、橘川先生には基調講演をお引き受けいただきました。ありがとうございます。今年の発表会においても、昨年から開始した「学生からの研究発表を学会内外から広く集める」という方針を踏襲しております。そのため、学生の方々は参加費を無料にするとともに、ステューデントアワード(金賞、銀賞、銅賞)の表彰を行いたいと考えております。昨年と同様、社会人学生を含む多くの方から発表の申し込みをいただきました。これにより、学会にあらたな活力が吹き込まれることを願っております。さて、今年の研究発表会の統一テーマは「Society5.0の社会実装を見据えたテクノロジーマネジメント~VUCA時代への変化対応力強化~」です。VUCAとは、予測不可能な大変動を意味するわけですが、パンデミックや自然災害、戦争、サプライチェーンの崩壊、経済の混乱など、まさに皆さんもここ数年、世界の大変動を身に染みて感じられていることと思います。日本にとっての大きな懸念の一つである米中対立と新冷戦は、経済安全保障の概念を急速に実体化させようとしています。今は、半導体や化石燃料、食糧などを典型とする、“モノ”の製造のサプライチェーンに脚光が当てられていますが、個人的にはこれら“モノ”の次世代製品を実現するための知財や研究開発のサプライチェーンにも、注意を払うべきであると思っております。次世代製品のサプライに支障をきたす企業や産業は、長い目で見ると衰退を余儀なくされるに違いありません。そしてそこには、MOTが大きなかかわりを持っているわけです。日本MOT学会を通じた研究と教育が、VUCA時代を乗り越えるための光明となることを願いつつ、皆様と一緒に本日の研究発表を楽しみたいと思っております。以上、短いですが、私からの開会の挨拶とさせていただきます。

■学会賞表彰

1.ベストペーパーアワード

 学術的に新規性・独創性、実務的に実用性・発展性に富む論文に授与しました。

◆金賞1件
論文名:「メタバース内のアバター活用による孤立予防に関する調査研究」
(著者)林裕子*・堀江和正殿**・久保大聖**・加藤隆弘**
    *山口大学大学院技術経営研究科**九州大学大学院医学研究院 精神病態医学

◆銀賞1件
論文名:「アメリカ企業の研究開発投資及び設備投資と収益性の定量分析」
(著者) 鈴木貴之*・今橋裕**・玄場公規***
    *京都先端科学大学経営学科 **京都経済短期大学経営情報学科
    ***法政大学イノベーション・マネジメント研究科

2.  スチューデントアワード

 学生を対象に、将来への発展性および潜在性を有する論文に授与しました。

◆金賞1件
論文名: 「トランザクティブ・メモリー・システムが遠隔環境のチーム行動に与える影響」
(著者)笹澤耕平*・湊宣明*
    *立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科

◆銀賞1件
論文名:「プラットフォームエコシステムの補完財における他製品とのシナジー効果が製品パフォーマンスに及ぼす影響」
(著者)唐睿陽欲*・井上祐樹**・辻本将晴* 
    *東京工業大学 イノベーション科学系 **法政大学 経済学研究科

◆銅賞2件
論文名:「マスクへの香り塗布によるVR映像酔いの低減効果」
(著者)福島朋也*・湊宣明*
    *立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科
論文名:「プログラム医療機器の産業システムとイノベーション・プロセス」
(著者)兪佳侃*・仙石慎太郎*
    *東京工業大学 環境・社会理工学院